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parent
9cc485303b
commit
a262864583
@ -58,9 +58,9 @@ g++ 5.1でもほとんど同じで,
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Visual C++ 14 (Visual Studio 2015) では,
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cl -DUNICODE /EHsc hello.cc
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cl /EHsc hello.cc
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とするとコンパイルできました。
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とするだけでコンパイルできます。
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では生成された実行ファイルを実行してみましょう。画面に`>`が表示され,ユーザーに入力を促します。何か文字列を入力してリターンキーを押してみましょう。正確に「hello world!」と入力すると「OK」と表示されます。何かおかしな入力をすると「NG」になります。
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@ -96,13 +96,59 @@ NL <- '\r\n' / '\r' / '\n'
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無事CSVフォーマットの文法が完成です。BNFや正規表現に慣れている方は,親近感を感じたのではないでしょうか?
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ここでPEGで文法を定義する際によく直面する問題について考慮しましょう。これは構文解析と字句解析が一緒に行われるPEG特有の問題です。
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ここでPEGで文法を定義する際によく直面する問題について考慮しましょう。
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## 空白の除去
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## キーワードの処理
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PEGの問題の中で一番よく知られているのは「空白」扱いです。Yaccなどでは,Lexなど外部の字句解析器がテキストのトークン分割を行う際に不必要な空白を除去してくれます。PEGでは構文解析と字句解析が明確に分離されていないため,空白除去の処理も通常の構文規則を用いて行う必要があります。
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`[123,456,789]`のような数字の配列は,次のように定義できます。
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次章では,より複雑なスクリプト言語の文法デザインしてみましょう。
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ARRAY <- '[' (NUM (',' NUM)*)? ']'
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NUM <- [0-9]+
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しかし括弧やカンマの前後に任意の空白文字を許したい場合は,明示的にその規則を追加する必要があります。
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START <- _ ARRAY
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ARRAY <- '[' _ (NUM (',' _ NUM)*)? ']' _
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NUM <- [0-9]+ _
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_ <- [ \t\r\n]*
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`_`が空白規則で,開始規則の先頭と,括弧やカンマや数字などのトークンの直後にこの規則を指定しています。
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このようにPEGでは字句解析器を別途用意する必要はありませんが,自前で空白除去の規則を適切に散りばめなければならず,この点がPEGの弱点と言えるかもしれません。
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## 空白の間違った扱い
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`if x then y`でも`if(x)then y`でも記述可能なプログラミング言語の文法を考えてみましょう。
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IF <- 'if' _ ('(' _)? IDENT (')' _)? 'then' _ EXPR
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IDENT <- [a-zA-Z][a-zA-Z0-9_-]* _
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...
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_ <- [ \t\r\n]* # 空白文字が0回以上
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この文法で上の2つの例にマッチさせることができますが,`ifxtheny`にも誤ってマッチしてしまいます。トークン間に必ず空白が必要ということで'_'の規則を次のように変更してみます。
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_ <- [ \t\r\n]+ # 空白文字が1回以上
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今度は正しく`ifxtheny`がエラーとなります。しかし`if(x)then y`は空白を必要ないにもかかわらず,マッチしなくなってしまいました。こうした時は「否定先読み」を使用して,トークンの切れ目を明確にして解決することができます。
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IF <- 'if' __ ('(' _)? IDENT (')' _)? 'then' __ EXPR
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IDENT <- [a-zA-Z][a-zA-Z0-9_-]* __
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...
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__ <- ![a-zA-Z0-9_-] _
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_ <- [ \t\r\n]*
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`__`は,前のトークンの直後の文字が「名前文字`[a-zA-Z0-9_-]`」ではないことを確認しつつ,0回以上の空白文字を受け入れます。
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## Unicodeのサポート
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FordのPEGの論文ではUnicode文字については想定されていません。しかし多言語のテキストを扱うにはUnicodeのサポートが必須です。対応は処理系によってまちまちです。
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この本で使用するPEGライブラリ(cpp-peglib)は正式にはUnicodeに未対応ですが,問題なくUTF8のテキストを扱うことができます。U+0800以上の全ての文字を規則名として使用することができます。
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このように幾つかの弱点はあるものの,PEGは十分に実用的な文法定義のための言語です。
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次章では,ついにスクリプト言語の文法デザインに着手しましょう。
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[Link_Ford]: http://pdos.csail.mit.edu/papers/parsing:popl04.pdf
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